こんにちは、医学生さやかです。
私立大学の2トップといえば、間違いなく早稲田大学と慶應義塾大学ですよね。
しかし、慶應には医学部があるのに、早稲田には医学部がありません。
私立の2トップの片方だけ医学部があるのに、もう片方には医学部がないのは不思議な話ですよね。
今回の記事では、早稲田大学に医学部が存在しない理由を徹底解説していきます。
早稲田大学に医学部が存在しない理由
慶應とは経営判断が異なった
戦前の慶應義塾大学は「医学部と病院を併設して、財源の多様化を図ろう」という経営方針でした。
一方で、戦前の早稲田は、「これからの日本は産業の重要性が高まる。そのため、産業で活躍できる人を育成するために理工学部を新設しよう」と考えました。
この経営方針の違いによって、慶應には医学部が存在し、早稲田には医学部が存在しません。
国が医学部の新設を許可しない
ここまで早稲田が医学部を経営方針のため設立しなかった話をしましたが、今から新たに医学部をつくることはほぼ不可能です。
なぜなら、国が医学部の新設をなかなか許可しないためです。
1979年の琉球大の医学部設立以来、医学部は全く新設されず、東北医科薬科大学の医学部新設許可が出たのは37年ぶりのことでした。
東北医科薬科大学の申請が通った背景には、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた東北地方の医療を支えるという緊急の課題があったのが大きいです。
このようによほどのことがなければ医学部の新設の申請は通りません。
国がなかなか医学部の新設を認めない背景には日本医師会の存在があります。
日本医師会はコロナウイルス関連で度々テレビで出ているので、今では誰もが知る団体ですが、開業医の集まりです。
医師不足が問題になっているのにどうして医学部が新設されないかというと、医師会が「下手に医学部を増やしたら、医師の質が下がる」と反対しているためですが、実際は開業医の集まりである医師会が自身の商売のライバルとなる人数を抑えたい、というのが大きいです。
医師会は強い政治力がありますので、国も医師会の意向に沿った対応をすることになります。
東京には既に医学部が十分ある
東京都内には、
- 国公立:東大、医科歯科
- 私立:慶應、慈恵会、順天、日医、昭和、東京医科、東邦、日大、女子医
と合計11個もの大学に医学部があります。
さらに、東京には便利な生活や質の高い教育を求めて、全国から医師が集まります。
そのため、都内の医学部の数はもう十分であり、新たに医学部を増やす必要性は低いです。
早稲田の教授が医学部新設を望んでいない
早稲田で今教授として働いている人たちの多くは、医学部の設立を望んでいないという事情もあります。
医学部の運営には莫大な資金が必要ですから、大学運営のうちの結構な割合のお金が医学部に流れることになります。
また、医学部の教授陣が大学内で政治力を持つことは目に見えているため、早稲田の教授は医学部の設立を快く思っていないわけです。
早稲田大学が単科医大を合併する可能性
ブランド力の向上
ここまで、早稲田の医学部が設立されない理由を解説してきましたが、大学経営者側としてはやはり医学部を新設したいことでしょう。
なぜならば、医学部があるのとないのとでは大学のブランドイメージが大きく異なりますし、永遠のライバル慶應に対して明確に負けていた分野の差を埋めることができるからです。
学長の公約
2018年の学長選挙では、田中愛治教授が当選しましたが、彼は医学部設置を公約に掲げました。
そのため、早稲田大学は医学部設置に向けて動いていくことが予想されます。
単科医科大学との合併
完全な医学部の新設はほぼ不可能なので、早稲田に医学部ができる可能性があるとしたら、単科医大を吸収するパターンです。
医学部ができるということで早稲田のイメージが上がることはもちろん、単科医大としても「早稲田」の名前が手に入るということでブランド力が上がり、両者に旨味があります。
合併の有力候補とされているのが、東京医大と東京女子医大です。
東京医大は不正入試で最初に問題になった大学で、補助金をカットされて苦しい経営を余儀なくされています。
そこに早稲田が救いの手を差し伸べるのではないか、というわけです。
東京女子医大は看護師が400人一気に退職するなど、こちらも経営状況は厳しく、3400万円だった学費を4600万円に一気にあげました。
そんな女子医と早稲田の合併はうまくいくかに思われましたが、女子医のOGが「世界でも唯一の女子大の医学部なのに、それをなくしてどうするんだ」と反対の声が強くなかなかうまくいかないようです。
まとめ
今回の記事では早稲田大学に医学部が存在しない理由について徹底解説しました。
現状は早稲田に医学部はないですが、学長の公約もありますし、今後単科医科大学とくっつく可能性は十分あります。
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